ソーシャルビジネスの展望
ソーシャルビジネスの今後の展望を考えると次の4点が挙げられると思います。
ソーシャルビジネスの展望
1.創造力のあふれた人の登場
2.社会の変化の先を見ることが重要
3.直接的利益4と間接的利益の両方を考える
4.他地域へのスケールアウト
1つめは、情報化の時代とか、繋がりの時代と言われていますが、その中で変革を創造する人が登場すること。つまり社会にあふれている情報の中から必要な情報を見つけ、自分たちが取り組んでいる社会課題解決に対し意味づけをし、繋がりを持たせることができる人、創造力のあふれた人の登場が望まれるということです。

2つめは、昔から経営力・組織力・ネットワーク力が重要と言われてきましたが、その時代に組織・活動を維持継続する間に異質なものを排除する傾向に陥りがちです。その異質なものを受け入れることによりソーシャルビジネスは、必ず組織力が身につくはずです。社会の変化の先を見ることが重要で、ソーシャルビジネスなら余計にミッションを達成するために、場合によっては目的や手段を柔軟に変えていく必要もあります。
3つめに、直接的利益と間接的利益の両方を考えて活動していくことが望まれます。例えば“子ども食堂”という例をあげると、直接的には子どもたちに食事を提供することで、子どもたちの直面する課題は解決するという利益につながりますが、もっと大きく考えるとその子どもたちの親や食材を提供する人たちなどが住む地域社会が活性化し、よりよい循環が生まれるという間接利益にも繋がります。この両方を視野に入れた活動が重要になってきます。

4つめに、他地域への展開(スケールアウト)を期待したいと思います。コミュニティビジネスというとどちらかというと、地域の特性に合わせた活動であり他地域への展開が難しかったですが、ソーシャルビジネスであればそれも可能でしょう。ビッグイシューを例に挙げると、その販売システムは大阪から生まれ、首都圏や九州、そして全国へ展開していっています。ソーシャルビジネスも他地域に展開されていけば、本来の社会課題の解決が益々進むものと考えられます。
記事提供:山田裕子氏
認定NPO法人大阪NPOセンター 副代表理事