ソーシャルビジネス事例 障がい者福祉施設併設カフェGIVE&GIFT

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コラム

ソーシャルビジネス事例 障がい者福祉施設併設カフェGIVE&GIFT

大阪・淀屋橋のオフィス街で障がいがある人の働く場を提供するカフェGIVE&GIFTを経営する株式会社きびもく代表取締役でNPO法人チュラキューブ代表理事の中川悠さんにお話を伺いました。

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GIVE&GIFTの事業内容

GIVE&GIFTは、淀屋橋のオフィス街にカフェを併設した障がい者福祉施設(就労継続支援B型事業所※)で、2014年9月にオープンし、現在約20名の障がい者が通所しています。


障がいのある人は、ここでは主にランチやスイーツの調理、店舗の清掃を担当します。また、パソコン作業、事務作業や軽作業なども行っています。障がいを持つ人々は、いつか、企業に就職をし、自分たちで自分たちの生活を維持していかなければなりません。「料理をする」ということは生活をしていく上でとても重要な要素の一つと位置づけ、包丁の使い方、計量方法、フライパンでの細やかな調理などを指導し、親御さんが亡くなった後、自分で生きていく力を身に付けてもらえるよう心がけています。そして、オフィス街だからこそつながれる近隣の企業と協力し、障がい者の就職を後押しできる体制を作り続けています。

また、もちろんカフェとして食材にもこだわっており、長野県須坂市のりんごを使った酸化防止剤を使用していない果汁100%のリンゴジュースや、淡路島で無農薬にこだわって育てられた花岡農恵園の玉ねぎを使ったバターチキンカレーなど、美味しさはもちろん、安心・健康面も考慮された、やさしいカフェとなっています。

“ 大阪のオフィス街 ”という、数多くの人々が集う地域で、障がいのある人々が職場に通うことを楽しみながら、将来の就職に向けての経験や意欲を高めていけるような場所を目指しています。一見お洒落なカフェにしか見えない施設ですが、障がい者福祉を大々的に見せないことで、これまでの価値観を覆すような、新しい「福祉」のかたち・コミュニティのあり方に挑戦しています。

(※就労継続支援B型事業所とは、通常の事業所に雇用されることが困難であって,雇用契約に基づく就労が困難である者に対して行う就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援事業所のこと。A型は雇用契約がある。)

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GIVE&GIFTを立ち上げられたきっかけ、気づいた社会課題について

就労継続支援B型事業所の工賃が低いことは、今も全国的な問題となっており、中でも大阪府の障がい者工賃は全国最下位で約10,300円(20日間)ということに驚いたのがきっかけです。 
      
この問題に対して、全国平均の約14,500円(20日間)以上に工賃を引き上げることを目的に、様々な角度から取り組みました。
これまでフードをつくる福祉施設の多くは郊外にあるため、今まではなかなか売れず、そのため工賃がいつまでたっても低いままになってしまっているという現状に対し、都心でフードを作り、都心で販売することができれば、その壁も超えることができるのではないかという思いから「GIVE&GIFT」をオープンさせました。

都市型の福祉カフェはいくつものメリットを生み出しています。障がい者にはオフィス街に通うことが訓練になり、職員はお客様を意識する商品づくりに心がけ、お客様には自然に福祉の商品に触れてもらうことができています。

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立ち上げ時から現在までどういう経緯をたどっていますか

株式会社・NPO法人の2つの法人を運営していますが、どちらもマイナスの社会課題をプラスに変えていくことをミッションとして動いています。例えば、人口減少・少子高齢化時代の中で、第一次産業の元気がなくなっていったり、地域コミュニティが少しずつ崩れて行ったり、、、。そういう観点から、ニュータウン、障がい者福祉、ものづくり企業、教育機関、行政の周辺で、今後、起こるであろう社会の変化を先読みして、大きな変化は作れないにしても、小さく、まずはできることから、一つひとつの課題の周辺資源を学び、どうにか解決できる方法を探しています。

過去にも大阪府内の漁港の発信力を高めるために、取材を繰り返しつくりあげたウェブマガジンの立ち上げと運営をはじめ、立ちあがってから約30年になるニュータウンの旧住民と新住民をつなげるための街でのイベントづくり、障がい者福祉施設の仕事づくりとしてのお墓参り代行サービスのビジネスモデルの立ち上げなど、現在でもジャンルを超えたさまざまな取り組みを企画・運営しております。

GIVE&GIFTは、障がい者福祉の支援の取り組みの1つとして生まれたプロジェクトです。船場の町で150年続いた小西酒店のビルをお借りすることになり、2014年4月、都市型の施設カフェを立ち上げるべく、ビル内を学生さんや建築士の方と一緒に大がかりなリノベーションに取り組むことにしました。

行政の認可も正式に下り、9月にGIVE&GIFTがオープン。新聞やインターネットなど数々の媒体で取り上げられました。運営する中で、さらに美味しいランチを作ろうということになり、2015年4月から、管理栄養士とともにメニューを一新。季節の旬の食材を取り入れた一汁三菜がテーマの健康ランチをスタートしました。

8月からは、オフィス街ならではの繋がりとして、淀屋橋に拠点をおく大阪ガスさん、富士ゼロックスさんなどのCSRの販売イベントに障がい者さんと一緒に初参加。11月には、NHKのバリアフリー番組から取材があり、スタジオにも出演させてもらい、大阪での福祉カフェの存在が全国に周知されました。

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GIVE&GIFTが目指していること

障がい者、支援員、社会の“3方よし”な作業所を目指し、障がい者福祉と社会の距離を近づける、都市型ならではの働きかけを行っていきます。

■障がい者よし・・・一般就職をイメージした就労環境づくり
・「オフィス街で働く」になれる:都会に通勤するストレスやオフィス街の雰囲気に慣れることで、都会で働く自信を得る。
・「自分に合った職種」を見つける:カフェの調理や清掃の他にも、軽作業や事務作業など、様々な職種を体験し、自分の得意な仕事を知る。
・働く場での「人間関係に順応」する:障がい者だけでなく、カフェで働く健常者ともコミュニケーションをとり、多様な人と働く環境に慣れる。

■支援員よし・・・福祉だけではない、多様な視点や柔軟な発想の獲得
・「お客様を意識した行動」を実践:都会のカフェで多くのお客様と接する機会が増えるため、お客様に対する意識が自然と高まる。
・多様な「人と繋がり新たな視点」を取り入れる:カフェに集まる多様な人と関わることで、障がい者福祉だけではない視点や柔軟な発想を取り入れる。
・商品に対する「意識を変える」:自分たちの商品が購入されるのを間近にすることで、お客様のニーズに合った商品開発を心がけることができる。

■社会よし・・・福祉の壁を意識させない、障がい者理解の促進
・「福祉を前面に出さない」カフェを運営する:オフィス街のカフェを利用してもらうことで、障がい者福祉と自然な関わりを生み出す。
・継続的に「情報を発信」する:一般企業への社会見学の開催やデザイン性の高い広報誌の配布などを通して、障がい者福祉への理解を高める。
・「都会のカフェ」という場を活用:スペースのレンタルなど多様な人が集まれる場をつくり、障がい者福祉との自然な接点を生み出す。

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今後の展開等、考えておられること

GIVE&GIFTのキッチン機能を活用し、冷凍や冷蔵で数日間保存ができるお惣菜を作りだしています。例えば、田舎の町の使われていない畑を再生し、生産した野菜を淀屋橋のカフェでお惣菜に加工して、淀屋橋はもちろん、生産地の町で販売できたらいいなと思っています。

漁港でも同様に、一般流通できないものを仕入れて加工し、淀屋橋や漁港で販売するというアイデアも。それができたら、都市と郊外を福祉がつなぐビジネスモデルになり、地域にも経済が生まれるし、障がい者の工賃も増えるのではないかと思っています。


また、別の切り口からですが、障がいのある子のお母さんはわが子のケアをどうしたらいいか分からないという実情があります。福祉の学校の先生はビジネスのことや施設のことが分からず、同様に、施設職員もビジネスのことが分からなかったりする。そこで、それぞれの「知らなかったことを知るための学校」みたいなものができないかと考えています。それができると、皆さんの「知る」ということが繋がっていき、障がい者の支援や将来に向けてのケアが向上していくのではないかと想像しています。

チュラキューブプロジェクトのホームページ

インタビュー

ソシオ・プロダクツ 菊地健

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